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PERFECT DAYSのKRKのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

役所広司はすごい役者だなあ。ホメオスタシスの話だなと思った。ものすごく濃密な豊かさ。ただ、リアルな質感があんまり感じられなかったのは、あまりに理想を描きすぎているからかなのか、海外志向の映画として含まれてしまうオリエンタリズム的な描写のせいなのか。めっちゃくちゃ良かったけど、明らかに資本主義批判的な側面があるのに、意図的に政治色を脱色していて、あまりの無臭さが逆に気になった。もうすこし貧困という切り口を見せてくれたほうが私は好きだったような……いや、でも貧しくても豊かに暮らせます!みたいになったらいよいよ戦前だからこれはこれで良かったのかもしれない……。個人の選択として資本主義から離れたところにあの豊かさがあるのなら、それはやっぱり希望だよな。社会主義に興味のあるお年頃としては刺さるものが非常に多かったです。ちょうど昨日、10年ぶりの高校の同窓会に行って、華々しく海外を飛び回っている同級生たちの話を聞いて、しがないサラリーマンをやっている自分はなんてつまらないんだろうとおちこみぎみだったので、ちょうどこのタイミングでこういう豊かさを提示してもらえたのも救われるような思いがあった。こういうのの女性版も見てみたいと切に思います。
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