イクミナ

PERFECT DAYSのイクミナのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
5.0
TOHOシネマズ新宿117席しかないスクリーンで9割8分がた席は埋まっていた。始まって間もなく、フィルム撮影だと気が付いて、『 film by Wim Wenders』 スタンダードサイズ。デジタルで加工してフィルムのような味を出せると思っていたが、これって、フィルムでしか表現できないのだろうなと思う。フィルムで撮影した、景色が役者が芝居がこちらの心にしみてくる。「言いたいことは言わない」子供が振り返り手を振る。それを受ける役所広司の表情。日常のちょっとしたしぐさ、人と人との無言のやり取り、その日常を見ているだけで、涙がにじむ。画が些細な物語を紡いでゆく。居心地が良いのです。映画の中にたたずんでいて気持ちが良い。小津が今生きていて映画を撮ったらどうなるかとヴェンダーズがインタヴューで答えていたと思う。昔のような家族はもうない中で、平山の父親との確執、友山(三浦友和)との出会いや、それでラストの平山の変化する表情の芝居になるのだなと、帰りの京王線新宿駅のホームで平山の泣き笑いの表情をしている自分がいた。
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