saya

PERFECT DAYSのsayaのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0
めちゃよかった!

"今度は今度、今は今"

って、"今、この瞬間を生きること"に集中して、っていうメッセージに聞こえた。あんなかっこいいおじさんがいるニコ、羨ましいなって思った。そしてあの歌声に乗せて川沿いを自転車漕いでるシーンとっても好き!

ニコの母が言った"おじさんはあなたと生きる世界が違うから"って言葉。
世界が違うとは何なんだろう、確かに人間それぞれ別の生き物だからそれぞれの世界で生きてるけど、世界が違うって言って相手にシャッターを下ろしてしまうのはどうなんだろう。
おじさんは世界が違うと言われたことに対してあの場面では笑って交わしてたけど、実際傷ついてるんだろうなぁ。
そういえば冒頭で子供とおじさんが関わるシーンがあって、母親が子供の手を除菌シートでふいて、子供を助けてくれたおじさんに何もお礼を言わないシーン。バイキンみたいに扱われてるなって悲しい気持ちになった。

敢えてトイレ清掃の仕事をして、勝手に人にジャッジされながらも、自分のペースを乱さず業務をこなし、行きつけの店に通い、規則正しい生活を送る姿は、眩しいくらいカッコよかった。
あれくらい人に流されない人間になりたいもんや。人って自分も含め、何かにつけ"なんで?"って結論を出したくなるもんだけど、別に自分が良ければ何をやってもいいと思う。だからおじさんが敢えてトイレの清掃という仕事を選んだとしても、それに対してなんで?っていうのはおこがましいなって思った。

"自分の在り方"と、"社会からの見られ方"
自分だけのペースで淡々と生きたいという願望の中に、時には人との関わり合いの中で起きる小さな悲しみや幸せを感じたいという願望。だけど、踏み込みすぎる関係を望まない。敢えて選んだ生き方だけど、たまには泥臭く涙を流したり、感情を共有したりしていいと思う。最後のシーンは、だからこそすごく印象的だった!

木漏れ日が毎日違って見えるから美しくて幸せって思えるとか、そこまで鮮やかな感性を持っているってことは、過去の様々なおじさんの経験のおかげなんだろうな。
そうじゃないと、日々の小さな幸せに気づけないと思う。いつかおじさんが様々な事象への一番ちょうど良い距離感を掴めるといいな〜〜
saya

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