地底獣国

PERFECT DAYSの地底獣国のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.6
ざっくり言うと「『上手いなぁ』って感心する映画。刺さりはしないけど。」

普段トイレ清掃係の人というと、キレイにしたばっかりの便器で用を足す時ちょっと「すいませんねぇ」と思うぐらいであまり意識してない人たちであり、映画で言うと「泣く男」の中で悪い人たちの密談を聞いてしまった清掃員のオバチャンが印象に残ってるぐらい。

そんな彼らが行う清掃プロセスを丁寧に描写してこちらの興味を惹きつけるというお仕事映画の基本をきっちり押さえているし、最初にルーティンをしっかり見せてそれを徐々に乱して行く塩梅もいい感じでやってるし、観客を信用してくれてるけど甘えてはいない「余白」の作り方も、とにかく「上手ぇなあ」という他ない。

まあ終盤の「昔のラブコメかっ⁉︎」てツッコミたくなるような場面はどうかと思うし、その後の三浦友和とのやり取りも、言いたいことは分かるけど(要は「一回転すればほんの少しだけ前に進む、それがドリルなんだよ‼︎」やんな)もっとコンパクトにできたやろとは思う。

それと映画のクオリティとは関係ないんだが、本作は柳井正の息子が噛んでいるTTT(ザ東京トイレット)のプロモーション映像として企画がスタートした、という話を聞くと、この映画観てしみじみしてる自分のことを奴らが見下ろし嘲笑してるように思えて、高スコア付けたら負けのような気がしたんでこのぐらい。

おまけその1:TTTは著名な建築家やクリエイターに「誰もが使ってみたくなる公共トイレ」をデザインしてもらうプロジェクトとして始まったそうだが、あの外から丸見え(中から施錠すると曇って見えなくなる)な奴は余程の非常事態でない限り使いたくないぞ。個人的に公衆トイレは清潔と利便性(バリアフリー)、それと荷物や衣類を掛けるフックがちゃんとしていれば十分だと思うんで、そんなプロジェクトよりも清掃員の給料アップに金使こたらええんと違うか?

その2:役所広司の顔が時々稲川淳二に見えてしまって、なんか怪異に遭遇する悪夢でも見たらおもろいのに、などとアホな事が脳裏に浮かんだ。

その3:完全に偏見だが、平山って選挙行かなさそう。
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