2024年最初の映画がこれで良かった。本当によかった。
いい映画を観た後は共通して、心のバランスや生き方にほんの少しの変化がある。
平山の毎日のルーティンと、日常という枠からははみ出ずに少しだけ何かが起こる日々。きっと色々な背景や出来事があるものの、全ては描かれずに観客の想像に任される場面も多い。
きっと色々あるんだ。寡黙な一面もあり、よく喋る一面もある。愛情深さと懐深さの上に表れる様々な表情は、具体的な場面を描かずとも平山という一人の男を明確に成り立たせている。
最後のシーンで平山の表情が映ったとき、本作が本作として完成する。それはどういう事象による感情なのか明確には分からないのだが、その感情が理解できてしまうのである。
