anneleia16

PERFECT DAYSのanneleia16のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.6
あまりにも好きなシーンが多すぎた 他人の暮らし、好きだよ
1日目のあの部分、天衣の演劇を思い出しちゃった 閉じられた部分を見られる背徳感というか、やっぱりドキドキする
スタンダードサイズが小津っぽいのかな
でも葉の影、ホームレスの影、影踏み、そうやって影を撮るのが上手だと思う 人の暮らしがテーマでありながらも、それは平山だけのものに留まらず、いろんな人の暮らしを風景として捉えてくれてる印象があった リュミエール兄弟の「工場の出口」みたいだよね 大元に戻ってきた感ある
下、斜めに伸びる影に対比して、上に聳えるスカイツリーっていう構図も面白い

暮らしのルーティンを取り扱った映画として、やはり「ジャンヌ・ディエルマン」を思い出してしまうのだけど、労働やそれを通した苦痛を観客に味わせたい訳じゃないから、こういう感じで作っていくのね、と納得はできた
天気が違うだけだったり、ちょっと面白いことがあったからだったり、人の機微や少しの違いで暮らしに変化が生まれて1日ずつ進んでいくのだから、第三者としてみてる私はすごく面白くなっちゃう こんな映画でいいんだよ、って思う
「おんなじなんてことがあって良いはずがない」ってことですよね

でもなんか気に食わなかったり間延びしたところもある
2日目から、なんとなく早送りっぽく見えてしまい、ファスト映画を視聴する時はこんな気持ちか…と思った 一部始終をみたいと思ってしまった

カセットの音が不自然に思えてしまう
なんか、そこだけ切り貼りしたみたいに綺麗な音ってかんじがしてしまって いや、確かに多分物語世界の音で、整合性は取れていると思うんだけど、平山の暮らしに(綺麗な東京と言えど)リアルさみたいなものを感じてしまっていたから、そんな綺麗な音にしなくてもよかったんじゃない? てか途中からステレオにせずモノラルのままでよかったよ こないだこの耳で本物のカセットの音聞いたから偉そうに言ってるけど

人と触れることについての映画だったな 抱擁と接吻
男性のトイレ清掃員という図だけでも結構面白いなと思った(この世に存在してるのは分かってるんだけど、どうしても女性に比べると、男性と清掃員ってあんまり近くない位置な気がして) 自分なら触れたくないもの、やりたくないことだし、やっぱそういうところでも「ジャンヌ・ディエルマン」思い出さざるを得ない
他人って綺麗かどうかわかんないから、お母さんは子供の手をウェットティッシュで拭く
でも文字通り人に触れる、みたいなところでよりあったかさを感じた

朝、目覚める時の寄りのショットに違和感あった

あと夢のシーン あの時になってる音 ちょっと変だった どういう気持ちで付したのか気になる
現像する写真の世界とリンクして白黒だったのかな?わかんない
どうしてシャッター押した瞬間の映像がそのまま出てくる?あそこは画面いっぱいに現像ショット出さなくてよかったよ多分 フィルムで写真を撮って、現像して、1人で吟味して、押し入れにしまう行為ってすごく閉鎖的じゃん それってニコでも私たちでも見れなくて、平山だけのものだったんじゃないかな 見えなくて良いところもあると思う
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