はるみ

PERFECT DAYSのはるみのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

前から思ってたけど、日本のドラマも映画も全然おっさんを主人公に据えないよな。その心の揺らぎ、悲哀や相克を撮れる監督も演じれる役者もそう居ないけど、この映画は自分が求めていたもので素晴らしかった。

おかっぱ派手髪の女の子がパティスミスを気に入って平山がただ嬉しそうに眺めてるシーンはただのロックおじさん。そしていい趣味してるだけでほっぺにキスくらいしてほしいよねえというロックおじさんの妄想。

ヴェンダースの作品を全ては観ていないけど、いつも最後には深い夜の街でどん詰まりな男たちが壊れた風で遊ぶ。それが何とも詩的で台詞も示唆的で、ハードボイルドほど乾いていない生温かさ(人間味)を感じて好きだ。

その隅田川でのシーンは背景の車や街灯や欄干の光がピントが手前の二人に合っているので光の粒になってぼやけているシーンは幻想的で不安定な男たちが浮き彫りになって美しかったね。

そうだな、ヴェンダースが日本を撮るとこうなるのかと思ったのは、、いや、これは同族嫌悪だし陳腐かもしれないが、街に物語がないムードがないと思えた。
主人公が立ち寄る場所は昭和風情が残る場所や人のみで、そこにしか物語を感じる部分が無かったんじゃないだろうか。

そして、まるで現代アートのような公衆トイレで執拗なまでに徹底的に掃除するディスコミュニケーションの男は何か現代の日本人の体質を揶揄されている気もする。
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