DaisukeYoshino

PERFECT DAYSのDaisukeYoshinoのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
1.0
穿った見方しか出来ないあたしが見るべき作品ではなかったかもしれない、、、


これが地方都市の本当に汚れたトイレ清掃員の話であれば見所を見つけられたかも。

The Tokyo Toilet、、、映画鑑賞以前から訝しく思っていたプロジェクトであった。トイレ清掃員の話とは聞いていたが、このプロジェクトの清掃員なのか、、、

アートやクリエイティブで都市生活を豊かにと言いながら、ホームレスや弱者を排除してきたのが渋谷区です。この点、ヴェンダースはどこまで知っていたのか、、、制作話をみていたらそもそもTokyo Toilet出資者であるユニクロ柳井氏が宣伝のためにつくってるんじゃん、、、クレジットで不思議に思っていた点に合点がいきました。


https://note.com/story_study/n/na4dff9fb9db0


本編最後、2001年宇宙の旅のスターゲイトよろしくな役所広司のスーパー顔芸がこの映画の全て。あの表情に何を見出すのか。泣いて笑ってこれこそ美しい人生さ!

苦悶で狂っちゃったんじゃないの?Nina Shimoneが叫ぶNew daysもNew Lifeも平山には訪れない。怒りと悲しみの歌じゃん。平山はスターチャイルドにもなれず、社会の汚物を掃除し続けるしかないんだ。ほんとにそこにパーフェクトデイズを見出せるの?

挿入歌
Pale Blue Eyes / The Velvet underground
の一説。

But mostly you just make me mad
Baby you just make me mad

Purfect Daysという虚構の裏、ここにこそ平山の影は存在していたように思う。

自分が慣れ親しんだ道をヴェンダースが描くのは興味深かったけど、現代の東京はヴェンダースが撮っても歪な街だった。資本に毒され、温故を捨て、スクラップアンドビルドをやめない都市開発。増設に注ぐ増設で醜い形になった首都高環状線。この環状線こそ平山の生きている人生。変わらず続く日々のループ。車線に割り込む車こそあれど交わることのない車列。

美しいもの、見たいものだけでは平山の影は描けないと思った。彼のルーツやバックグラウンドを明かさない妙(ズルさ)はあったけど、結局この映画が描こうとする「美しい」街Tokyoの影にこそ平山が生き続けている人生はあったんじゃないのかな。弱者(もしかしたら弱者ですらないかも)を対象に、過度なロマンを描くっていうのは、前だけを向けないあたしには辛い映画だったよ。

Lou ReedのPurfect dayは大好きで大事な曲なんだ。oh such a Purfect day!!よしてくれよ。

カミさんには「お前はドキュメンタリーを観ろ」と言われました。チャンチャン、、、


追い打ちのような追記です。


先日パンフレットを読む機会がありました。締め括りでプロデューサー柳井氏がこの映画が清掃員に尊厳を与えたという一文がありました。

尊厳を与える、、、なんと傲慢な視座か。自分がこの映画に関して訝しく感じていた歪な通奏低音は感じた以上に明確に存在していた。

よくもこんな言葉をパンフレットに載せたなと思ったよ。こっちが疑う以上にひどいものだった。