満を持して、今年の映画館de鑑賞はこの映画からのスタート。年末から楽しみにしてた一本。
海外の監督さんが日本を撮ると日本であって日本ではない 海外の視点からみた日本らしさが映り込むものだけど
スタッフも日本勢が多いからか、日本人からみるいつもの東京と、海外から見た東京の中間のような東京だった。
想像していたよりずっと詩的で透き通っていて、少し色鮮やかさが印象に残る映像。
きれいで、きれいで、ずっときれい。
トイレ清掃員の映画というからちょっと身構えてたけれど、まったくモダンで綺麗なトイレしか出てこなかった。
Day 1, Day 2...と見せられる平山のperfect daysを見ていくと
トイレはすべて近代的だけれど
清掃する平山の日常を囲むものは銭湯やボロアパート、古本屋などどれも色褪せたレトロな雰囲気の場所ばかり。
彼が聞いている音楽も年代もの。それがまたなんとなくいいんだなあ。
人とほとんど喋らない平山は、古く色褪せたものを愛して、変わらない日々を大切にしているのだと作中ずっと思ってたんだけど。
最後の字幕を見て、
現在の変化によってもたらされるゆらぎや、垣間見える過去の喪失、変わらないと思っていた朝の風景や人々が
かけがえのない、2度と訪れない一度きりの瞬間であり、彼が大切にしていたものは本当は…とふっと考えさせられた。
それがまたなんとも言えない後味で
こんどまた家でゆっくり見たいなあ。
そして家で見ると
見ながらきっと心地よいうたた寝に誘われてしまうだろうな。眠くなる。
役所さんは本当に素晴らしくて、そのほか豪華なキャストさんたちを豪華な使い方で使ってらして、そこもまたよかった。
ちょっと長く感じたんですけどね。
東京を美化しすぎではとか、ポエティックすぎるなとか思っちゃわなくもなかったんですけど。
この幸せを享受するには
わたしはまだ若い。
と感じた心理的距離から
あれ、わたしって意外とちゃんと20代なんだな…とか感じちゃいまして。
なんだか悪くなかったです。
監督のインタビューによれば、平山は修行僧から膨らませた人間らしいです。
そう、なんか、禅の。
もう一度、心地よい昼下がりにソファでだらりとしながら見返したい一本でした
