EnoTaka

PERFECT DAYSのEnoTakaのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.2
面白かった。今の時代なかなかこういうタイプの映画はなかった気がするからすごく心に残った。誰かの日常を切りとって描いた作品は多々あるけど、どれも若者に焦点を当ててる映画が多い中で今回はそれなりに年取ってるおじさんが主人公だから他の似たようなジャンルの作品とはまたちょっと見える景色が違くて新鮮だった。主人公は確かに今を生きてるんだけど、現代の世の中において自分の生活習慣をこれだけアナログなもので満たしていることがすごく印象的。主人公の暮らしを見ているとなんか心が落ち着くし安らぐ。舞台が大都会の東京っていうのも対比があっていい。この映画は主人公の何気ない毎日の繰り返しなんだけど、日々違った何かがあって、それに惹きつけられるからこそ作品が全く退屈じゃなかった。劇中のあらゆるもの、瞬間、場所、音、人間模様が愛おしくて素敵だった。最近はいかに情報で溢れていて、スマホなどの便利なものに囲まれているかっていうのがよく分かる。まるで生活が支配されているみたい。作品の中ではあまり多くは語られないし主人公は寡黙だから彼が今に至る背景とか過去どんな人生を歩んできたのかが全然明かされないけど、これはこれでいいかも。それがこの作品の良さだよね。空気感に絶妙な心地よさを感じる作品だった。
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