ゆりな

PERFECT DAYSのゆりなのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.7
あらすじ聞いただけでも「パターソン」のようで、好きな私には案の定どハマり。

まず度肝を抜かれたのが、公式サイト!
写真家としても活躍する監督らしい、ヴィジュアルがドンと出たインスタレーション的でおしゃれな創りと書き下ろしの小説がたまらなかった。

「パリ、テキサス」のヴィム・ヴェンダース監督、なぜ日本を舞台に?と思ったのだけど、そもそも1985年に既に東京の映画を撮っているのね。
監督が「場所を大事にしている」と語る通り本作は渋谷とかその近辺だし、「パリ、テキサス」もロードムービーながら点としての「街」が印象的だった。

TOTOのショートムービーの予定が、長編映画へ。本当に「ありがとう」という感情しかなく、2023年のベストムービーでした。

公式の監督のインタビューを見た方がいい。
映画本編からだけじゃ分からない、平山が昔エリートであったであろうこととか分かるので。

主人公の平山は風情あるアパートで一人で暮らし、黙々と早朝からトイレ掃除の仕事をこなし、夕方には帰宅し銭湯へ行き、近所の飲み屋で一杯やり、寝る前に読書をする。休憩時間には木漏れ日をフィルムカメラで撮り、現像に出してよかったものだけ残し、たまに素敵なママ(石川さゆり)のいる料亭へ行く。
木漏れ日って日本独特の言葉なんですね。それに気づく監督の感性よ……。

淡々と変わらないように見える日常だが、なんか憎めない後輩とか、姪っ子の登場によって、緩やかながら変わる。
ニコ(姪っ子)の存在がまた良くて「おじさん、海に行きたい」「今度ね」「今度っていつ?」「今度は今度だよぉ」なんてやりとりも愛しく思える。

こんな風にわたしは良いと思うところがいっぱいあるが、「つまらない」と感じる人ももちろんいるだろう。だけど本作が「いいよね」って感じる人とお酒を飲み続けたい。

時が流れても、ひとりとか周りとか関係なく日々をたのしんでいて、何度も嬉しそうに空を見上げる平山の笑顔を思い出したい。とゆう感想を遅れながら、星野源の「ばらばら」を聴きながら書きました。またふとしたときに観たいお気に入りの一本です。

毎年、色々思うことがありすぎて感情が揺れ動く、父の墓参りの日に、大変満足な映画に出会えて嬉しかったです。

2024.3
映画館にて再鑑賞。
一度目ではそこまで沁みなかった、終盤の三浦友和のシーンの意味が分かり、かなり沁みました。

「木漏れ日」のキーワードに前回は最後に知ったので、二度目は頭から木漏れ日に着目して見れてよきでした◎
ゆりな

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