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PERFECT DAYSの42のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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見つけようとしないと見つからないものばかりだ。やさしさも愛も自分から気づこうとしないと気づけない。

カセットや本、フィルムカメラ、銭湯、昔からあるもの。失われてほしくないのたち。平山の生活はいつ壊れるか分からないくらいとても脆いものなのかもしれない。だけど平山はその生活を大切にしている。壊れてもできないことが増えても平山はきっとそれを受け入れてまた生活に戻っていく。

同じ地球上で暮らしているというだけで世界は全て繋がっていると錯覚してしまう。だけど実は世界は繋がっていない。世界が違う人たちばかり。境界線は曖昧だけど個々での世界がある。だからといって線引きし合ってるわけじゃなく、「理解できなくてもそれはそれで仕方のないことなのかもしれないね。だってそれぞれの世界が違うのだから」と教えてもらえたような感覚になった。だから世界は繋がっているという言葉より世界は繋がっているようで繋がっていないと言われた方が安心できた。実際そうだし。

こういうふうに生きていけたなら、
現実とは離れていても、実際こういう生活ができるわけではないとしても、頭の片隅にこの映画があって、頭の片隅で平山は生きていて、そう思うと少しだけこの世界が微笑ましくなるような映画だった。
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