提督P

PERFECT DAYSの提督Pのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.1
トイレ清掃員を題材にした作品の監督がヴェンダース。小津がどうとか紹介記事にあったので、海外で邦画に求められるのは未だにそうなのかと失望したものだが、蓋を開けてみれば実直で寡黙にトイレ掃除するだけの役所広司が、なぜか女性たちにモテまくる「なろう系」だった。それにしても役所の年齢でもカセットテープで音楽を聞くのは無理がある。音楽だけでなく役所はわざとらしいぐらい何もかもがアナログかつローテク。蛍光灯のペンダント照明、カメラはもちろん、電源コード付きのシェーバーなんて今買う理由がないだろう。そんな役所を行きつけの居酒屋女将ら女性たちが無条件で優しく受け入れる毎日は、まさにパーフェクトデイズ。そしてトイレ清掃は、恋敵を不幸にする呪いのような効果まで発動。女将と抱擁する三浦友和を偶然見てしまった役所だが、元夫だし癌で余命幾ばくもないので女将をよろしくと三浦が追いかけてきた(ご都合主義にも程がある)。それを聞かされた役所のこれ以上ない満面の笑顔で作品は幕を閉じる。どこか倫理観が狂った世界だが、「なろう系」ではよくあることだ
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