前半は観てて「彼は人間か?」と思った。人間じゃないなにかなのでは?と。
シフト飛ばす奴がいたり、そういう人に作用されて、規則正しい生活に基づく大らかな態度が崩れていく。
本当は大らかでありたいのに、職場に怒って電話したり、せかせか夜まで働いたりすることになる。
社会のややこしさそのものだ。何か些細なことでも外部から妨害されたら、内なるリズムが狂ってしまう。
一方で、彼に作用するものの中には、思いがけない幸福な気持ちをもたらしてくれるものもある。
突然家にやってきた姪や、ママの元夫で癌の男など。
外部から作用されること、それがマイナスなこととするか、それとも素晴らしいものとするか、決めるのは自分次第。そこを決められるのが人間であり、なんらかの理由(たとえば経済事情とか)でそこを決められないのは人間らしさを失っている状態。
ラストの役所広司のカットは、
「泣き、笑い」じゃなくて「泣き笑い」
そんな感情こそ、人間らしさだと思った。
相反する表情の共存性みたいなところか。
23.12.30
TOHOシネマズ緑井