バンバンビガロ

PERFECT DAYSのバンバンビガロのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.6
役所広司演じるトイレ清掃員の日々の生活をただ坦々と描写する地味な映画であるのだが、主人公が出会う人々の本編ではあえて語られることのない氷山の一角のような物語の断片が単調な話に奥行きを与えている感じがして、結構面白い。
ホームレスを公共の場から排除する社会にあるオシャレにデザインされた公衆トイレなんてものはくだらないと思うし、主人公の仕事もきれいなトイレをきれいにしているだけで本来あるはずの汚いものを映すことなく職業倫理を称えるのは欺瞞であるとも思うのだが、そのあたりは社会の外側からの視点で切り取られた映画であるという感じもする。
主人公の平山は何でもない日常の繰り返しの中で小さな瞬間に楽しみや美しさを見出しながら生きていて、その姿は感動的ですらあるものの、そうした日常を主体的に楽しむ資質みたいなものも主人公の生まれの良さと教養からくるものではないかと思わせる残酷さもあって、そのような本編では語られなかったことや映されなかったものについても考えてしまう映画であった。
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