起承転結がハッキリと用意されているものだと。
少し期待していた自分は、日常系の映画だと早い段階で気づいたのだけれど、その期待をラストまで持ち続けていたので、鑑賞前の世間の高評価への期待もあったせいで、若干の肩透かしをくらった感はあった。
でも、とても大切なことを教えてくれた気がする。
めっきり空を眺める時間も減った昨今。
何処かに行く時も、何をするにも色んな事が指先ひとつで完結する「現代」を、昔と比較して豊かになったもんだなと思う事が度々ある。
でも、たまに本当に今の方が豊かなのか疑ってしまうことがある。
較べることは、ナンセンスなのは分かっているけれど。。。
そして、主人公の生活ぶりを見てはっきりと思った事は、昔は昔でとても豊かで、そして逆に何故かとても贅沢に思えてしまった。
音楽ひとつとっても、指先ひとつで何万曲も聴けるのに、、、
音質だってレコードならまだしもカセットテープなんて、圧倒的にデジタルの方が良いはずなのに。。。
そして取り扱いも不便なはずなのに。。。
フィルム写真に紙の本も。
外装も内装も古めかしさたっぷりの、お風呂もない、、、でも情緒溢れる建物も何もかもが。
しかし、デジタルの世界にどっぷり浸かっている僕らは、便利さと引替えに豊かさを錯覚して大事な何かを失っている気がする。
めっきり減った空をぼーっと眺める贅沢な時間と共に…。
(Z世代には何言ってんだ?と思われるかもしれないけれど。)
不便さの中にある豊かさや、贅沢を見つける事も幸せへの道かもしれない。
ここ数年でキャンプが流行ったのもそう言った側面もありそうだなぁ、、、
レコードなどのアナログな物が流行るのなんてのは言わずもがなだし。
と、そんなことを思わされる映画だった。
他にも、役所広司さんや、キャストの方々の素晴らし演技や、カメラワークや、トイレ掃除がとか人間模様がとか、選曲が〜とか。(個人的には音楽の良質さで退屈に思われてしまいそうな隙間が上手く埋まってしまっているので、逆にマイナスポイントですが! 流れてくる音楽たちは最高!)
語れるポイントはまだまだある退屈な様で密度の濃い映画でしたが、ここら辺でやめときます。
他の方々のレビューも、色んな感じ方があってとても面白い。
今度は真夜中に、真っ暗な部屋で完全な独りの状態でじっくり鑑賞したい。
長々と失礼しました。