おかちゃん

PERFECT DAYSのおかちゃんのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.6
皆さんの評価も高く、Wim Wenders作品だからチェックしておきましょか…という感覚で足を運ぶ。結果は、前情報で知り過ぎの為か、余り感情移入出来ず終ってしまった。今の日本を外国人から観るとこうなんだろうな~。慎ましく一生懸命、規則正しく生きる…。

・確かに映画は良く出来ている。画も美しく、東京の街の造形美と下町の生活感の対比も感じられ綺麗な画だ。そうそう、やたら浅草タワーを下から覗き込む画があった。だから→【朝日の当たる家】。駅のスタンド居酒屋や夜景、木漏れ日の光線や部屋に差し込む陽など光への拘りがみられ、随所に撮影技術の高さと名作オマージュが採り入れられている。
でも⁉️である。どこか、他人(よそ者)から観た光景にしか私には観えない。感性が古いのかな…。
・役所広司も完璧である。演ずる仕事も職人的ですらある。海外の客人は、日本のトイレの清潔さは一番❗️とよく褒められる。彼は、決めた通りに1日のRoutineをこなしていく。日本人は、世界中で勤勉の鏡であるとよく評価される。
・登場する公衆トイレは、チョー近代的だ。ただ、それを利用する人々は自分の世界で追われている。そして、彼は自分に与えられた仕事をこなしていく。彼は彼なりに工夫を凝らし仕事を究める。そんな彼が人と交わる接点は、オセロである。それで→【PERFECT DAY】。

・確かに、極ありふれた日常の中の僅かな変化(木漏れ日の影に想いをよせ日々を記録し…)を楽しみ、慈しむ。それは、日本人の持つ感性の1つだ。しかし、それは凄く内省的な趣味なんでは?(何もないよりはよいが…)

・恐ろしく観客の年齢が幅広い映画だった。平日昼間なのでこんなだろうが、80~40歳代までの層と映画好きの若者チラホラ来てた。また、層の内訳も映画とシンクロする様に、日々変化の少なそうな(普通の)オバチャン達や、映画サークルで知り合ったような少し映画通な歳を重ねた親父と今風センスの小娘の変なカップル、はたまた業界風ちょいワル親父と夜クラブのママとまさに色々である(チョッと賞で話題になるとこんなもんかね…?)。 これが映画の特徴を示してるような気がした。そう、今の日本人には生活に変化は必要ないのだ。ただ、少しスパイスがあればいい。そしてオバチャン達曰く「歌の意味が解らんから、話の筋が何なのか分からんわー」🤣。

・居酒屋ママ曰く「なんで、今のままでいられんの?」。そう、人はいくら居心地好くても、いつまでもその場に留まれない。それで→【朝日の当たる家(浅川マキversion)】
・ほんの少しだけ、役所広司が感情を現す。「一人寂しくない?」「今度は今度、今は今」。彼の中で葛藤があるのだ。
・親族とのわだかまりと父親の老い。
明かに知識人の彼の過去に、何か不都合があったに違いない。でも、それは彼の中で留め墓場まで持っていくつもりだ。
・居酒屋ママに男の影が…。でも、ここでも深入りする事はない。男から実情を知らされ、過去の不都合を踏み越えてきた彼は、細やかな勇気づけの言葉を掛ける。掛けられた男は、半信半疑で受け止めようとする。

今の日本は、みんな一生懸命に決められた事をやるが、実は心はバラバラで、ごくごく自分の身近な事柄に楽しみをみつけ、そこに満足して生きている…。そして、必要以上には他人と関わろうとしない。そして最後に老後は、病魔で…。
だからNina Simoneの【Feeling good】なのである。でもな~、我々歳食った奴はそれでよくても、若い人達はそれで良いのかな?
誤解しないように。ミニマル思考は、物質先行型の大量消費時代の反動として大変重要な転換的視点ではある。でも、そのことに拘り、何もかもが小ぢんまりという発想は如何なものか?
そう時代を推し進めるのは、
"Stay hungry. Stay foolish."である。

すこし、悲観的すぎるかな😁⁉️
スコアは厳しめですが、良い映画でした👍🙆