監督の着眼点になったテーマって何だったのか？
変わらない判で押したような生活に見えるが、小さなところで変化はたくさんあるという部分に着目したのかな？
個人的には生活範囲内の代々木公園周辺が撮影場所になっていたので日頃たびたびお世話になっている公衆トイレや下北沢の街並みに目を引かれた。
役所さんの役柄はごくごく普通の毎日同じ時間に目を覚まし、若い頃に流行った曲を聴きながら車で仕事に行き、仕事が終われば行きつけの店で夕食を食べて風呂に入ってから本を読んで寝る。そして夢を見る。
その繰り返しの中に毎日小さな変化を見つける。妹には娘がいて、母親と喧嘩をすると独身の伯父のところに逃げてくる。伯父としてはそんな姪っ子が娘のようにかわいい。というどこのオジサンにも心当たりのある生活。
ただその2時間以上の作品の中にゴテゴテした説明的な台詞は少ない。そこが特別なところなのかな。ベンダース監督が日本のオジサンをテーマにした作品を世界の観客はどう受け止めるのか、そちらの方が興味が沸いた。
