のぶぃ

PERFECT DAYSののぶぃのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

役所広司が小津映画の笠智衆の域へ、と絶賛されているが映画内で彼はほぼ話さないのでサイレント映画を観ているような気分になった。
タイトルは忘れたがある映画に関する本で『裁かるるジャンヌ』のルネ・ファルコネッティの顔がどれだけ映画にとって重要な役割を果たしているか書かれていた。
その本は様々なテーマで数多の映画を取り上げていたが、その中で「顔」というテーマでいくつかの映画について批評されていた。
デジタルで撮られているがこの映画ではいくつかのシーンで印象的な白黒シーンがあり、それもあってなのかもしれない。

ラスト、役所広司の顔がアップになり、どういうわけか涙を流しているがどういう理由で泣いているのかわからなかった。

そもそもほぼ話さない人間がなぜ泣くのかなんてわかりようがない。
人間は楽しくても悲しくても怒っていても怖くても、どんな感情でも涙が出る。
(余談だが統合失調症のひとつの症状には感情鈍麻があり、これは本当に辛いそうだ)
普通に話す人間でもどういう理由で泣いているかなんて本人の口からどういう説明がなされようと他人の気持ちなど本当はわからないだろうなと思った。
コミュニケーションというものはやはり相手のことを絶対に理解出来るということを前提とするものとは違うなと思い、面白く感じた。
ロールシャッハテストのように鑑賞者に役所広司の最後のシーンがどういう感情の涙か聞いて回ると面白そうだと思ったが趣味が悪いのでそういうことは辞めておこう。
のぶぃ

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