日本には役所広司がいる。
そう思うと日本人である事が誇らしくなる。
セリフはなくともこの平山がどういう人か。それが分かる気がしてくる一つ一つの仕草。それを感じ取れた瞬間瞬間、観ているこちらの心の言葉がセリフとして浮かんでくる。
それもこれも、こんなにも事件の起きない穏やかな時間の流れを描く映画にすっかり引き込まれている証拠なのだろう。
平山という男、最初はミニマリストかと思ってみていたらどうやらそう言うわけでは無いらしい…というのが徐々に分かってくるのも面白い。
仕事と本と音楽と行きつけの好きな店がほんの少しあればいい。
Spotifyか店の名前だと思っていい。
カセットテープの価値は自分が決める。
毎日繰り返しの日々の中でのわずかな変化に目を細めながら暮らす日々こそパーフェクトワールド。
この淡々と進む映画の深度に気付ける人と友達になって影踏みしたい。
