ぴんゆか

PERFECT DAYSのぴんゆかのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
1.9
周りのドイツ人達が何人も勧めてきたので試聴。

結果、自分の趣味ではなかったが、あー外国人好きそうな日本だなと言う感じ。役所広司様々作品。
日独合作という理由もあるだろうが、とにかく寡黙で質素ながらも文化的な生活を送る主人公。目があった人にはいちいち会釈をして、よくわからない頼みをされると、自分がその後困窮することを分かりつつも聞いてしまう。

どこかでこれは監督の思う日本の好きな部分、良い部分だと言う意見があったがそれよりもドイツ人的な観点からシンパシーを感じるような点が盛り込まれているという方が近いと思う。
自分が観測する範囲内では今の日本人よりドイツ人の方が金銭面に細かく、質素で足るを知る生活をしているように見えるし、娯楽がたくさん溢れていていつでも何でもできる日本とは違って休日は大してやることのないドイツではむしろ公園で古い小説を読んでいたり、ピクニックシートを広げてただ寝るだけで一日過ごしたり、小さなことに幸せを見出している人が多いように感じる。

最近デザインで話題になったトイレばかりやたら出てくるのは、それがTokyo Toilet Projectなるプロジェクトの一環だかららしい。賛否両論のジェンダーレストイレもありました。普通の公園のトイレはおどろおどろしくて化け物しか出なさそうなのに、日本に行ったことない人から日本は公園のトイレすらこんなにどこも綺麗なんだって思われてたらなんかな、、、

役所広司、こんなにかっこよくてかわいいのに作業着着たら普通のおじさんになれるのすごすぎる。お役所にかつて勤めていたというだけあって、一般人の仮装をうまく使い分けられるんだと思う。最後のシーンなんかサイコホラー映画、「Pearl」の時のMia Gothの顔芸タイムよりも長いアップ撮りなのに笑っていたと思ったら哀愁を漂わせ、また笑い泣きしているかのようになったりという表情だけで、それまで全てのことに割と笑顔だけむけてきた中年男性の生涯が滲み出るラストで感慨深かった。

ちなみに住んでたボロアパート、トキワ荘より古そうな、トタンが剥がれ落ちそうな外観なのに中は侘び寂びに徹した、文豪の避暑地かのような趣ある家で住みたいと思ってしまった。
ぴんゆか

ぴんゆか