花

PERFECT DAYSの花のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.1
2024.2.13

かなり憧れる生き方ではあるが、もうさわれない場所に置いてあるまぼろしのような印象。想像するところまではできるけど、実際に実現できるのは誰もいないような感じ、同じ場所にいる違う世界の人をしっかり見せられるのがかなり映画的でよかった。スカイツリーが執拗に映る感じも、同じ時代を生きる世界が繋がっていない人を認識させられた

とにかく生きてると進むことを推奨されがちなので、戻れなさに対しての感情を味わうための映画だったのかも?自分が良かれと思って選んでやっていることが不必要に複雑すぎるのかもとも思った

絶対見逃しちゃいけないと思ったのは、平山は選べば(精神的に幸福かは別として)かなり裕福な暮らしもできた可能性があることなのだけど、教養や滲み出る品など育った環境は絶対無視できない、だからこそ清貧は選ばれし者のみが実現できる桃源郷なのだ!そういう意味ではけっこう意地悪な映画でもあるなと思った。手に入らないものを手に入りそうに見せてる感じが……
一度裕福だった経験があるから選べる生き方であり、さらに平山が生活にマメな選ばれし者だったことも含めて清貧
生活自体がある意味ファンタジーなので、妹が運転手付きの車で迎えにきたシーンのおかげで平山の人物像にリアリティが出たし、現世とファンタジー平山が繋ぎ止められてる感じがした。平山はけっこう仏陀みたいな感じだな〜とも思った
平山になるのは不可能だけど、すこしの間気持ちの中に平山の影が住み着くのがうれしいそんな映画

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・サントラめちゃくちゃいい
・夢とフィルム写真をリンクさせるのオシャレ
・東京的な美しさは、整った街の中にある歪みみたいな古いスポットなのかもと思った、ちょっと手垢で黒ずんでる質感というか。。。表現難しい。。
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