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PERFECT DAYSのあのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

青がきれい。初めの画でグッと心を掴まれた。

不自然なくらいにTHE TOKYO TOILETの文字が映り込むなと思っていたらプロモーションビデオだった。納得。富裕層の考える、貧困層の豊かな暮らしだと思ってしまった。(毎日缶コーヒーを買ってコンビニのサンドイッチを食べ、夕飯は飲み屋、休日には撮り溜めたフィルムカメラの現像という生活を送っている人間を貧困層と定義して良いのかどうかは疑問)多分これを心から美しいと思える人はお金をもっている。

ウエットティッシュで子供の手を拭く母親や、清掃中の看板が立っているトイレに入った女性が平山を見て驚くシーンでは、平山は確かにここに存在しているはずなのに誰にも見つけてもらえないんだと悲しくなった。けれど、平山はそんなことは望んでいないのかもしれない。私はまだそれを美徳とは思えないけど。

トイレ清掃の後輩が思想の貧しい人間、教養のない人間として平山との対比に使われているのが辛かった。(これは私に学がないから)
平山に、貧しくても教養は身につけられるという希望を勝手に抱いていた。そこにきて平山の実家はかなり裕福であるという情報が仄めかされ、はっきり言って絶望した。文化資本は世代間継承されてゆく。

ハイボールを流し込み、金ピースでむせた平山はどんな気持ちだったんだろう。最後の今にも泣き出しそうな笑顔を見て、この人は常に余裕があるわけではなく、笑顔でいようと努めている人なのかもしれないと思う。2時間で築いた平山像が崩れた。

すごく良かった。凄くすごく良かったけれど、これを良い映画だったと言っていいのかは今の私には分からない。とにかく私はニコのようにSpotifyで青い魚を聴こうと思う。

あと、なぜだかコンテンツ消費を文化的な活動だと誤解するなよと言われている気分になった。


今度は今度、今は今
11の物語
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