このレビューはネタバレを含みます
「お金がなくても幸せに生きられる!」とか、そんな甘っちょろい映画なんかじゃ全然なかった。
本当にこの日々で良かったのか、もっとパーフェクトな毎日はひょっとしたら自分の選択次第で選び取れたんじゃないのか。
あんなに毎日が充実していそうな平山さんなのに、あのラストシーン。あの表情。幸福の中にどうしようもなく溢れてくる涙。
きっと平山さんは、今後あの女将さんとそういう関係になることは無いだろうし、父親はきっと和解することなく死んでしまう。妹とも分かりあえる日はこないだろう。
本当によかったのかこの人生で。分からない。
きっとこんな風に、良かったのか悪かったのか、分からない曖昧なまま死んでいくんだろうな。
でも、彼には愛した本と音楽と緑がある。そして木漏れ日がある。その瞬間だけきっと朗らかでいられるなら、もしかしたら毎日は大丈夫なのかもしれない。