Nori

PERFECT DAYSのNoriのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.9
面白かった。平穏な男の日常が描かれていた。その平穏な日常は映画のスクリーンを通し観ている観客に、あたかも平山の人生の穏やかさと、あとちょっとした動揺が起こっているように感じさせてくれた。これはある種な映画が起こす素晴らしい作用の1つだ。

まぁこっちにはそもそも、そんな穏やかな人生設計はないから、残念ながら平山さんの暮らしへ深く入り込むところまで行かない、というか行けない。行こうともしてない。そして、「あぁ、自分は平山までは全然到達してないのだなぁ」とに気がつく。

誰も人から完璧な人生などは望まれていないし、望んでも手に入りにくい。手に入りにくい人生の片鱗に触れるのを通して、また今日一日について考えさせられる。僕の人生もまたまた音楽を聴いて一日が始まるのだろうな。

いい映画。ヴェンダース舐めてた。ジャームッシュと区別してなかった。猛省しました。小津安二郎を研究してたのもあるし、主人公の平山さんは小津安二郎の東京物語の平山さんからもらってるんだろうなぁ。パリ、テキサスや天使の詩からブエナビスタに行って、ドキュメンタリーがやりたいのか、どうなんだろうと思っていたが、こういう一見ドキュメンタリー風な完璧フィクションに辿り着きたかったのか。ヴェンダースめ。いいところ突いている。この映画好きめ。俺も映画好きだわ。
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