自分以外にはわからない、他からどう見えていようが、自分的にバランスの取れたperfect daysってあって、そういう日々、いや、瞬間だけでも、自分にとっての尊さというのはなんとも言葉では言い表せないもので、人に伝えるのも難しくて。
だけどそういう時は、なぜか続かない。
それは自分に起こる事件だったり、周りの誰かに起こる事件だったり、自分の周りを構成する人や物が突然消えたりいなくなったり入れ替わったり…。そういう予期できぬ、コントロールできないことに、私たちの人生は囲まれている。
他人が大切にするものは理解できないし、他人の行動も予測できないし、正義感も人それぞれで。
それでも毎日、好きなものを見たり触れたりすること、誰かが笑いかけてくれること、人間の美しさや愛おしさに遭遇すること、木漏れ日が綺麗なこと…何より、毎日目が覚めること。
そのこと自体が、どれだけ尊く、大切にすべきことか、毎日がそれだけでperfectに感じるくらい、かけがえのないことなのだと。
高架下の川沿いのシーンから、ラストの役所広司の長いカットまで、涙が止まらなかった。
とてもシンプルで、とても美しい映画。
そして音楽が素晴らしい。
「影は重なると濃くなるのか」
セリフの意味についてずっと考えてる。
ジョン・ウィックシリーズのチャド・スタエルスキ監督も、素晴らしい日本語と概念の一つ、として「木漏れ日」をあげていて。私も大好きな日本語のひとつだけど、多くの外国人や外国の芸術家たちがこの言葉を理解し、愛してくれて、このように彼ら自身の芸術に昇華してくれていることが、なんだかとっても嬉しくて、誇らしい。