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PERFECT DAYSのasakaのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5
まず、人のルーティンとかドキュメンタリーって見るの面白くないですか?
自分では当然な日常だと思っていても、人にはそれが新鮮に思える。
ルーティンなんてそんなもんで
日々頭を使わずにこなしてる。やりたくてやっている、やらないとなんか気持ち悪い。
ある意味性癖みたいな物で、人によってバラバラで言葉にはできない。なぜそれをしたいか言語化するのは難しい。
昨今YouTubeでルーティン動画とう言うジャンルが流行っているのはおそらく人の秘密や、人の癖をみることへの興味心なものでもあると思う。
ルーティンって他人には決して共感できないものですが、自分には心地よい。

私事ではありますが、基本週5出勤週2休みの生活をしていますが、平日は居心地がよく、良い意味で何も考えずに生きており、週末は新鮮さを味わう。そんな日々を送っています。なぜ週末に新鮮味を感じるのか。恐らくそれは平日はルーティンを生き、週末はルーティンを崩す、と言うそれまたその様なルーティンを生きているからなのか。とこの映画を観て気づきました。
この文を書きながら思ったのが、過去の恋愛や、過去に食べた食事、行った所、などで異常に記憶に残っているものがある。恐らくそれはルーティンが崩された記憶の一部だからだと思う。
非日常が故に頭や心の片隅に残る。


Perfect daysこの意味は名名によって違うのでないでしょうか。
私にとっては居心地が良い生活も人にとっては不快とまでは言わずとも、馴染めない。そう思えて当然のことである。
劇中でタカシ(柄本時世)がよく「10点中○点ですよ」と言うシーンがありましたが、まさに平山さん(役所広司)はルーティンをこなせた日常が10点中10点のまさにperfectday。
今日もperfectな日だったと思い過ごす日々なんて素敵すぎる。
この映画の見心地の良さはおそらくそこにもあるのではないだろうか。
しかし、結局だれしも毎日がうまくい訳でもなく、ルーティンが崩れる日だってある。けれどそれさえも愛おしい。これだから人生って最高だ。これだから辞められない。
平山さんの最後の涙は私にはそう思えた。

本作はこれといった波はないし伏線回収もなく、説明的でもない。
それにも関わらず私は映画のラストシーンの平山さんの表情を見て涙が止まらなくなった。
なぜだろうか。
過去にルーティンを崩す何かがあったとしても生きていればまた今日が来てルーティンをこなせるという安心感なのか、
それとも日常っていろんなことが突発的に起こるけどそれも愛おしいと思えたことなのか。言葉にはできないけれど、この映画は私にとって心を動かす何かがあったのは事実なのだろうと思いながら帰宅しました。
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