大前提として、かなり色んなことを考えることができる良い映画だと思う。出てくる生活の風景はメッチャ良いし、いつまでも忘れたくない・大事にしたい感性だ。
ただ平山に感じる違和感が凄かった。そのあたりは大島育宙のレビュー動画がかなりしっくりきたので、是非観て欲しい。平山はマイブームであの生活をしているだけという説。
小説家の川上未映子が平山を「選択的没落貴族」と称しているが、平山があの生活を選択していることは明白。だったら僕は「他の人から見てかっこいいと思うから、やってます！羨ましいでしょ？褒めて！」と声高らかに宣言できる方が、まだ健全だと思ってしまった。平山は、ある種の羨望の眼差しが自分に向けられていることを知りつつ、距離感を取りながらそれを享受している。
その演出として登場する女性たちは、平山の自己肯定感を高める道具として扱われている。この点は、この映画の悪いところだと思っている。金髪女性は平山の趣味に共感してキスをする。神社のOLは憔悴しながら平山をじっと見つめる。姪に「この生活いいでしょ？」と分からせたぐらいで母親に引き渡す。スナックのママの元夫に「あいつをお願いします」と言われる。
だったら僕は「この生活・感性を理解してくれる人〜！あつまれ〜！」と言い放ち、この世にたった1人でも良いから味方を探したい。平山には、その必要はない。だって平山にとって、あの生活は続けるつもりもないマイブームに過ぎないから。
何回か考察し直したい映画ですね。生き方を考えることに繋がりそう。
