このレビューはネタバレを含みます
令和の時代を昭和のごとく、淡々と無口に生きる主人公。セリフは少ないが、でも何故か引き込まれる。
進み切った現代の万物は、便利なようで実は何か大事な物を見失ったように感じる。
この映画を観ると、その大きな損失に気づかされ、今までの自分が愚かだったと、涙すら出てくる。
レトロやクラシカルと名付けられるものが流行る今、間違いなくこの映画に魅了され、真似る人が出てきていることだろう。
別にそれはそれでいいのかもしれないけど、根幹はそこではない気がする。
人によって、捉え方が様々であろうこの作品だからこその魅力がある。
映画が完結するのではなく、日々を生きる視聴者一人ひとりが各々の解釈をすることで完結する映画。
個人的に、主人公が父に似ていて、言葉ではなく、行動で示していく姿が重なった。
後半は、ほとんど泣いていた。
この映画を胸に、思い返せば、世知辛い世の中を、他者を、想いやれそうだ。
