寝るのだいじ

PERFECT DAYSの寝るのだいじのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

公衆トイレ清掃員の粛々とした生活と、その中にある優しさや心の豊かさの話。

決してお金持ちではないが、出会う人全てに相手の心を汲んだ、自分ができる範囲の優しさを与えていてほっこりした。
見返りも求めず、自分のことは自分で機嫌をとり、楽しみも大切にしていて、目指したい人間像だった。
本質的な幸せな人生があった。

同僚が短絡的で、飲み屋の女の子に本気で恋をしてお金を落としまくり、足りなくなったら平山に頼るシーンでイライラした。
こんなに心が丁寧な人から、日々の幸せをくれるカセットテープを奪おうとしていて、ある意味人間らしかった。

行きつけのスナックのママの元夫に、ビールとタバコをあげたシーンが、一番懐の広さが出ていたと思う。
なんやかんや寂しいから通っていたはずのスナックなのに、ママには恋人がいたというショッキングなシーンを目の当たりにしたにも関わらず、悲しそうな表情を見て察して接していた。
おそらく「辛いことが重なっても大したことない」と強がって「影は重なっても濃くならない」と主張する元夫に、「影は重なると濃くなる、濃くならないとおかしい」と平山は力説していた。辛いことは辛いものだと肯定してくれていた。
そこから楽しい気分になるように、影踏み遊びをしたり、優しすぎて憧れた。

樹木の葉の重なりや影を撮影していると思っていたが、最後に「木漏れ日」の説明があった。
作中で描きたかったのは人が無意識にでも少しずつこぼしていく優しさなのか、影が重なると濃くなるが優しさで癒されることなのか、本意はわからないが良かった。