木曜日31

PERFECT DAYSの木曜日31のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5
質素に見えて実は何かから逃げてきてやっとの思いで欲しいものをかき集めた暮らしを実現しているのかもしれない。でもそうではないのかもしれない。多くを語らないからこそ美しい映画だった。
平山は人に温かい。でもその温かさは人との間に一枚壁があるような気もしてくる。いつも信じたいものや触れたいものに身体を向けている。そう見えつつもきっとそれだけでは生きていけないことにも気づいていて、そしてずっとある心のもやにも気づいていて、それが時々見せる平山の悲しさの理由なんだと思った。
言葉を発さずも表情で感情がすごく伝わってきて、豊かに移り変わる情熱を持つ平山がすごく好きになる。
私から見れば平山の生活はすごく魅力的で豊かだと思う。でもこれを魅力と思わない人もたくさんいるんだと思う。
どんな瞬間もそれが美しいと思うか思わないかは自分次第、自分の生活をどのようにするかも、それがパーフェクトであるかを決めるのも自分次第。

役所広司の良さ詰まりまくり。
ニーナシモンが流れるラストシーンは忘れられない。