木漏れ日の美しさを見つめては、誰に見せるでもなさそうな写真を厳正に選別しボツを破り捨てる。
その潔さにハッとした。
完璧に思える一瞬を、日常の美しさを、カメラでそのまま切り取ることがどんなに難しいか。
空を仰ぐ。好きな音楽を聴きながら職場へ向かう通勤時間。
仕事の合間に見つける木漏れ日の美しさ。
仕事終わりの銭湯と行きつけの呑み屋での一杯。
古本屋で本を買い、眠たくなるまでページをめくる至福の時間。
これだけで、十分だ。
うまくいかないこともあったけれど、これでいい。
もう十分幸せだ。そう思えた。