えり

PERFECT DAYSのえりのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.0
映像の美しさと音楽、説明しすぎない物語もいいんだけど、私はどうしても「果たしてこんなふうに生きたいか?」と思ってしまうのだった。
カセットテープと古本、フィルムカメラで撮った写真、そしてルーティンのように決まった場所に通う閉じた世界。その居心地の良さはわかるけど、清貧はそれほど美しいだろうか?と若干批判的に見てしまったかもしれない。

不安と恐怖は似て非なるもの、というパトリシア・ハイスミスくだりは好きだったけど、平山の不安はあまりに(おそらく家族との断絶を見るに)自分で選んだものだしなあ……なんて思ってしまったり。
まあ孤独を愛しながら孤独感からくる不安に苛まれる気持ちもわからなくはないのですが。
嫌いじゃないけど絶妙になんとも言い難い……簡単に「よかった!」は言えない作品でした。

ジム・ジャームッシュの『パターソン』と比べる感想もちらほら読んだけど、私には『パターソン』の方にまだ共感と希望を見た。まあパターソンはまだ若いからねと言われたらそれまでなんですけども。
えり

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