かーとこーべん

PERFECT DAYSのかーとこーべんのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5
この映画は刺さる人が多いと思う。現代社会は学歴や仕事、収入で優劣をつけられ、SNSでは私の恋人や生活が羨ましいでしょ?と、幸せなんか人それぞれなのに、やたらと比べたがる。友達のキラキラな投稿を見て、自分の今の仕事や生活はなんて惨めなんだろうと、落ち込む人は多いと思う。

そんな社会の中で、平山はそれらに振り回されることなく、毎日を淡々と生きている。決まった時間に起きて、顔を洗い、歯を磨き、缶コーヒーを飲んで、トイレ掃除の仕事に行き、寝る前には本を読んで寝る。このミニマムな生き方はとても美しく見えた。本当にこれ位で良いんだよな。現代人は仕事にSNSに人付き合いとか色々やりすぎだと思う。

最初、平山は孤独に見えて、可哀想だと思っていたけど、観たあとは羨ましくなった。トイレ掃除の仕事や同僚との会話、お気に入りの神社で食べるご飯、写真、車内で流す音楽、寝る前の読書、行きつけの居酒屋で飲むお酒。この何気ないルーティンの一つ一つを平山は心から楽しんでいるように見えたから。

あらゆるものが数値化・可視化された社会を生きていると、人生、何を持って幸せかとか、幸福の基準は人によってそれぞれ違うものだという、よく考えたら当たり前なことを忘れてしまう。私も平山のように自分にとっての幸せを早く見つけて、自分の人生を生きていけると良いな。

「この世界は、ほんとはたくさんの世界がある。繋がっているようにみえても、つながっていない世界がある」

平山が姪に言ったこの言葉が印象的。
ほんとにその通りだよね。
人生、絶対こうあるべきだとか、どれが正解とかないし、みんな自分の世界の中で、好きなように生きれば良いんだよ。と、気持ちを楽にしてくれた映画でした