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PERFECT DAYSのwisteriaのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8
いまさらヴェンダースの新作を劇場に観に行くことがあるなんて夢にも思っていなかったけれど、これはなんだか泣けちゃったなあ。。肩の力を抜いて撮られた作品なんだろうけど、それがかえって味わい深い。トイレ清掃員の平山さん(役所広司)は基本同じことを繰り返す動きのないルーティーンの人なんだけど、ワゴン車やら自転車での移動シーン+70年代素敵音楽の感じは往年のロードムービーを彷彿とする。ホームレスの田中泯、居酒屋女将の石川さゆり、そこの常連客にあがた森魚、やられました。。

私は外国人の撮った「日本」が昔からどう言うわけか好物で、いや本当の日本はそんなもんじゃないよーとかつっこみつつも、その作り物めいた「日本」に倒錯的な魅力を感じてしまう。例えば、ジャン=ピエール・リモザン監督の『TOKYO EYES』(1998)という変なオリエンタリズム映画すら、いまだに忘れがたく心に残っている。いや、あの映画の吉川ひなの凄いんですよ。。


平山さんの作り物めいた完璧な日々がこれからもずっと続くと良いなとは思うけど、現実の日本ではどんどん容赦なく失われてしまうのだろう。なので映画があそこで終わってくれるのは完璧に正しいのだ。
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