おぉ...よかった。
観る前からどうせ電通主導の広告的なアレなんでしょ...とどうも足が向かなかったわけだが。
確かに脚本的にいえば「いい子ちゃん」の感じは否めず、「なんとなく広告の人が発想しそうな感じ」は否定はできないのだが、ヴェンダースによるアート的圧倒的戦闘力の高さがそんなものを凌駕する。感動してしまった(これを例えばそのへんのCMいっぱい撮ってきました、グレーディング頼りの薄っぺらな「オシャレ」な映像得意です、みたいなよくいる凡作家が撮ってたら、目も当てられないことになってるだろう)。
こういうの、「みんなやりたい」ヤツだと思うんだけど、それをこうやって普通にハイッと、さらりと作ったように提示してしまうのはやっぱり一流の芸術家だなぁと。みんながなんとなくいいなと思っていることを「ありきたり」を超えて具現化できること。
どこまで行ってもモチーフとかネタは「何を描くか」ではなく「どう描くか」、「どれだけ人間のことを掴んでいるのか」なんだと思い知らされる。
石川さゆりが急に歌い出すの、めっちゃボーナスタイム感。得した気分に。
長回しはここぞというときに使うと効果的であるという当たり前のワザ。特にヴェンダースはクライマックスで使う。
ちなみに毎日体の負担にならないくらいの適度な仕事して、だいたい同じとこでメシ食って、なんか創作(この映画で言えば写真)して、移動のときは音楽楽しんで、本読んで寝る、みたいなの、ある程度理想の生活として描かれてるわけだが、けっこう普通にオレ。
