tana

PERFECT DAYSのtanaのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

よかったという一言では片付けたくないくらい
よい映画だった

まず自宅の間取りが素晴らしい
自分の暮らし以外が一掃された
無駄のない家具や小物が素晴らしい
物の配置で、この主人公がいかに几帳面な人物なのかがわかる
丁寧な暮らしなんていう陳腐なことばで片付けたくない
わたしはあの布団で寝ると背中が痛いことをしっているが
低反発マットレスを足そうものなら
あっという間にそこに漂う情緒は崩壊する
よってマットレスは無し、だ

平山さんのトイレ清掃シーンはいつまでも見ていられる
手際のよさもあいまって
心が、脳が、スッとする
出てくるトイレは構造や建物のデザインによって全然ちがうのに
それぞれのトイレを
あたかも昔から清掃していましたというように慣れた手つきで作業する役所広司

台詞が少ないゆえに
台詞から複数の意味を取ろうと
脳を働かせた
(とくにニコの母との会話シーン)
少ないやり取りの中に
平山さんが父親から受けた仕打ちや
幼少期の境遇などを考える

雰囲気で、
物語の終盤からエンドロールへ向かうのが分かると
ここまでのたくさんのシーンを思い浮かべる
観客に物語の整理をさせてくれる
心地のよい時間だった
もっと生活を見ていたいとさえ思った

映画をみたあとは木漏れ日を探したくなる
行き交う人がどんな経緯でここにいるのか
ぼんやり考える
人にはひとつずつ、
それぞれ全く違う人生がある、という当たり前のことを思い出して
掻きむしりたくなる気持ちになった
tana

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