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PERFECT DAYSのsingthingのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

確かに夢ってこういう感じ、そう言えば映像としては見たことなかったかも、と新鮮に見た。主人公が夢に見る世界と写真だけがモノクロ。余計なものが入りにくい世界を選んで生きている。最低限に見えるけれど、実はこれが最大(これで満足してる)。違う可能性(自分の選ばなかった世界、価値観)にぶつかったときに苦々しい表情をしているのが印象的。

カセットテープのうち唯一の日本語詞の歌、素晴らしかった。母語が違う人にはきっと違う響き方をするのだろうけど。石川さゆりのママ感、ハマりすぎて笑いそうになった。洋楽ばかりの中で聴くと、演歌の独特さにあらためて気付かされたりした。

中年男の影踏みは、愛嬌と哀愁。そうであって欲しいものをそうであって欲しいと思い続けること。

風呂も食事も洗濯も家の外で、「おかえり」「お疲れ様」は、通っている店の人に言ってもらう生活、都市ならではのホームの在り方。車は移動する自室のよう。プライベート空間でもあり、社会に接続するためのものでもある。家→車→公共トイレ→自転車→街の中の店→家と移動していき、緩やかに自分と社会、公共とプライベートをうまく繋げているのも、生き方として上手だなと思った。

繰り返す日常でも、展開だけでなく長短とアングルでリズムつけてあったのが見やすく居心地がいい。

玄関の鍵かけてないのが冒頭から気になりすぎて落ち着かなかったけど、家出少女(姪)のいる時はちゃんとかかってたのホッとした。

手土産の中身はきっとクルミッ子。
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