KnightsofOdessa

The Old Oak(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

The Old Oak(原題)(2023年製作の映画)
3.0
["チャリティではなく連帯"という答え] 60点

2023年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ケン・ローチは今回で15回目の選出となる。同じコンペには9回目のナンニ・モレッティ、8回目のマルコ・ベロッキオ、5回目のアキ・カウリスマキが選出されており、白人老人会みたいになっていた。ダルデンヌ兄弟(前年に9回目の選出となった)とかもまとめて、レジェンドコンペみたいなのに移動してくれると若手に席も空いて良いと思うのだが。時は2016年、イギリス北東部ダラム近郊にある、かつての炭鉱町が舞台となる。今では主人公バランタインが経営する小さなバー"オールド・オーク"以外の店が全て潰れるほど寂れてしまい、人々は体制から見捨てられたと感じながら暮らしている。そんな人が居なくなって空き家だらけになった田舎の町に、シリアからの難民がやって来る。安い空き家が大量にあるため、コミュニティごと移動するのに最適だったようだ。住民は彼らに敵意を剥き出しにし、冒頭では写真を撮っていたヤラのカメラが破壊されることで物語が動き出すのだが、基本的に作中で敵意を剥き出しにしているのはバーの常連客で、彼らの存在は"こういう意見もあるよね"というポスター展示みたいに挿入される。まるで"反発がないってのも変だから入れとくか"みたいに取り敢えず入れといたみたいな異物感がある。

"オールド・オーク"は現存する唯一のバーである他に、かつて繁栄していたコミュニティの象徴のような場所でもある。今では使われていない奥の部屋には、労働者とその家族が団結してストライキをしていた時代の写真が飾られている。バランタインは、この20年は使われていなかったという部屋を開放し、新たなコミュニティの中心地とする。それは母親の言葉である"共に食べ、共に支え合う"という言葉の実践であり、文化も言葉も違う難民に対して、実はこれまで自分たちがやっていたことを繰り返せばいいだけなんだという気付きでもある。ただ、このシンプルな答えと映画自体の過度なシンプルさは別種のものだ。そしてその"過度なシンプルさ"は、映画の過度なセンチメンタルさや語りの性急さとも結びついている(バランタインの過去を語るために殺された犬は不憫でならない)。いやまぁ…メッセージ自体は間違ってはないんだけどさ…
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa