柏エシディシ

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
浅学にも史実を知らなかったのだが、俄かには信じ難い、と同時に興味深く壮絶な物語。
序盤から容赦なく披露されるドラマティック且つ絵画的な画面の美しさと演者の迫力に圧倒される。
母親役のバルバラ・ロンキの目ヂカラが凄まじい。
教皇をはじめカトリック教会側の強硬的な対応に、そこまでするか?ともなるが、パンフレットの背景説明などで補完しつつ、ナルホド、当時の政治的状況や国際的な注目度が、逆に追い詰める様に過剰な対応を選ばせてしまった部分も大きかったのだ、と。
ユダヤ社会への不寛容と無理解の歴史を思いつつ、反転して今のイスラエルパレスチナ状況にもつい思いを馳せる。
宗教的帰属意識が薄い国で暮らしていると想像し難く時に不可解だが、神の名の元に非合理的な行動をし、時に残酷に他人をそして自身を捻じ曲げてしまうのも、人間自身の選択。
そこに信仰の違いなく、その矛盾と愚かしさこそ、すべての信仰の行き着く共通項ならば、何と虚しい事か。
柏エシディシ

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