かめの

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命のかめののネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます


いかにもミニシアターでかかりそうな、静かな映画かと思いきや、迫力ある音楽で展開される演出などエンタメ性も強く感じて、そのバランスが面白かった。

特に、教皇がいかにも滑稽に描かれすぎていて、物語の雰囲気が崩される。その感覚が想像外で楽しい。

正直あらすじを読んでいくと、中盤までは予想通り進むのでやや退屈だが、エドガルドが大人になってから彼がみせるねじれた感情に思わずゾクゾク。

教皇に体当たりしたかと思いきや、屈辱的な命令にも従う。はたまた遺体を燃やせ!と群衆に加勢する反面、キリスト教への信仰心を捨てるわけではなく、母親の死に際しても受洗させようとする。

もういっそ、家族と会わなければ……などと考えてしまうほど、引き裂かれるような苦しみが描かれる。救いになるはずのものに苦しめられる、という宗教の内的矛盾を突きつけてくる。

規則だからとエドガルドを連れ去ったことはもちろん誘拐に間違いないが、ただ、これは単にキリスト教が悪い、宗教が悪いという話では全くない。むしろ、ここで描かれる「宗教」は様々なものに置き換えられるはずだ。誰かにとっては「母」だったり、「村」だったり。

幼少期の教育がいかにその後の人生へ影響を与えるか、恐ろしいほどに考えさせられた。
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