ノラネコの呑んで観るシネマ

ポトフ 美食家と料理人のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)
4.6
19世紀末、美食家のドダンと優れた料理人で、彼の公私に渡るパートナーのウージェニーの物語。
飯テロ映画である。
冒頭30分に渡る調理と晩餐会のシークエンスで、いきなりお腹が鳴る。
そしてユーラシア皇太子なる怪しげな人物が登場し、ドダンが俗物な皇太子を大衆料理であるポトフでもてなすことを決めると、そのままグルメ漫画的な方向に行くのかと思いきや、そこはトラン・アン・ユン。
ウージェニーが突然の病で倒れ、映画は急速に切ないラブストーリーモードに突入する。
料理を出汁にして描かれるのは、彼にとってウージェニーはどんな存在だったのか?ということ。
絶対の信頼をおくお抱えの料理人か、それとも最愛の妻か。
それでも大きな傷を修復してゆくのは、やっぱりパッション迸る料理の数々なのだ。
トータルだと、映画の半分くらいは料理してるか食べてるか。
ピエール・ガニエールが監修したという料理は、メチャメチャ美味しそう。
動線の映画でもあり、移動ショットが効果的に使われている。
ラストのウィットに富むやり取りは、ホントに粋。
心は満たされるが、かわりにお腹が空く映画だな。