ねむろう

ポトフ 美食家と料理人のねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

2024新作_004


この愛だけは、
幾千の言葉でも表せない。


【簡単なあらすじ】
〈⾷〉を追求し芸術にまで⾼めた美⾷家ドダンと、彼が閃いたメニューを完璧に再現する料理⼈ウージェニー。⼆⼈が⽣み出した極上の料理は⼈々を驚かせ、類まれなる才能への熱狂はヨーロッパ各国にまで広がっていた。ある時、ユーラシア皇太⼦から晩餐会に招待されたドダンは、豪華なだけで論理もテーマもない⼤量の料理にうんざりする。〈⾷〉の真髄を⽰すべく、最もシンプルな料理〈ポトフ〉で皇太⼦をもてなすとウージェニーに打ち明けるドダン。だが、そんな中、ウージェニーが倒れてしまう。ドダンは⼈⽣初の挑戦として、すべて⾃分の⼿で作る渾⾝の料理で、愛するウージェニーを元気づけようと決意するのだが──。



【ここがいいね!】
パンフレットでは、19世紀末のフランスと書かれてありますが、その当時のフランス料理が非常に丁寧に描かれた作品でした。
もちろん、そういう映画であるということは前提ではありますけれども、じっくりと「その料理ができるまで」を描いていたかなと思います。
作品では、BGMがほとんどなく、そのとき捉えているものが立てる音を最大限に活かしながら、あるがまま記録していたなと感じます。
葉っぱが擦れる音、虫の声、鍋が擦れる音、包丁で切る音、皿と食器が当たる音、お湯が煮え立つ音、薪がパチパチと燃える音、いろんな音がこの作品を演出していました。
そう考えると、フランス料理を含めて全ての料理は、「できたもの」を食べるだけではなく、1からその料理が完成していく過程を思い描く、非常に豊かな時間でできているものなのかなと思いました。
そして、その中でウージェニーとドダンの淡い恋だったり、ウージェニーとポーリーンの継承の物語だったり、いろんなものが多重に含まれている作品でした。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
作品の中で、料理を食べた後に美食家の人たちが、非常に丁寧に「これはこういう味だ」という話をっするわけですが、特にこのドダンたちがいる家は、どんなものなのかというところがあまり説明はされていませんでした。
ドダンが持っている家(城)と捉えていいのか、何なのかというところがちょっと難しいところではありました。
また、ドダンの美食家仲間がいるわけですが、彼らもどういう関係の人物なのかというところも、あまり語られなかったなと感じます。
その反面、ドダンに関わる本当に数人にフォーカスする映画だった、ということも言えるのかなとも思います。



【ざっくり感想】
フランスにおける「食事」というものが、何かを摂取するということを超えて、人と人とのつながりを大切にし、つながっているその時間自体を大切にしているというところがしっかりと描かれていた作品でした。
非常に美味しそうな料理たちを見ることができて、お腹が空いてくるような、とても良い映画でした。
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