画面から匂いや風味まで漂ってくるような感覚
主人公の美食家ドダンとお抱えシェフのウージェニーの愛の物語。
美食家って言うと鼻持ちならない存在の様に思えてしまうが、今でいう料理研究家みたいなものか。
冒頭でウージェニーが手際よく作る料理は、素材の収穫から調理するまでの工程を映していく。
前菜、魚、肉、デザートに至るまでこと細かく。
時代が古いせいもあって調理器具は古いものだが、それが逆に調理をリアルに思わせてくれる。
スープを濾した不純物のない透明感や、魚や肉の食感までも想像出来そうな感覚になる。
そしてワイン。試食する時はワインを欠かさない。如何に料理がワインに合うかで定めている。
これだけでも良い物を見た感じ。
料理だけではなく、ドダンとウージェニーの会話もウイットに富んだもので、料理と同じくお洒落。
現実でマネしたら変人扱いされそうだが。
目と耳と嗅覚、味覚まで優しく刺激してくる、たまの贅沢な「絶品」を味わうような作品。