KnightsofOdessa

L'ete dernier(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

L'ete dernier(原題)(2023年製作の映画)
3.0
[ブレイヤ流"罪と女王"] 60点

2023年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。カトリーヌ・ブレイヤ長編15作目。10年ぶりの新作だが、この10年間の間に起こったことと言えば、#MeToo運動の初期段階でワインスタインを擁護して先頭に立っていたアーシア・アルジェントやジェシカ・チャステインを罵ったことだ。これに関して考えを変えたとか謝罪したとかの記事は見当たらなかったので、5年も経ったし皆忘れたでしょ!ということなんだろうか。"王様"フレモーへの信頼はマイナスなので、やっても不思議じゃない。閑話休題、本作品は2019年のデンマーク映画『罪と女王』のリメイク作品である。プロデューサーのサイード・ベン・サイードがブレイヤに持ち込んだ企画らしい。物語はほとんど一緒で、若い女性に対する事案を取り扱う高名な弁護士アンヌが、夫ピエール、二人の養女と共に暮らしている緑豊かな郊外の家にピエールと前妻との子供テオがやって来て云々。女性の加害性を描いてきたブレイヤっぽい題材だなあと思うなど。『罪と女王』ではラストである種の断罪を用意しているが、本作品では結末を変更しており、より不快な方向へ舵を切っている。その判断は実に良いし、こっちの方が好き。ちなみに、主演は『ジュリアン』や『CLOSE / クロース』といった作品で常識的な母親を演じてきたレア・ドリュッケルであるが、当初の計画としてはヴァレリア・ブルーニ・テデスキが演じる予定だったらしい。こういう不快な人を演じるにはピッタリの女優と思うので、テデスキ版も観てみたかったなあと。
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