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落下の解剖学のMALPASOのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.3
映画『落下の解剖学』

昨年観てイマイチだったのだけど、世間が傑作だ傑作だというので、再び観る。

確かに、次々と明らかになっていく登場人物たちの隠れた事実。それでも、あえて人物に踏み込んだ描き方や感情移入もしにくい作りになっている。それによって観ている者は真実が何なのかわからなくなるし、結論も出せない。

緻密な内容で、かなり下調べなどをして作られた脚本だとわかる。死んだ夫が執筆にために家族の会話を録音していたのも、監督自身がやっていたことのように思える。

冒頭からうるさく流れるスティール・パンの曲。ドイツのBacau Rhythm & Steel Bandの50セント『P.I.M.P.』のカバーだった。犬の名前もスヌープなので、どうやら父親はヒップホップ好き。ちなみに愛犬スヌープを演じたメッシはパルムドッグ賞を受賞。気を失ってるシーンはどうやって撮ったのだろう?

2回目、随分印象が変わったシーンがある。妻はベストセラー作家、夫はいまいち売れない。夫が原案を考え、妻が作品にしている。夫は原案通りじゃないと言う。「この程度で私たち夫婦の何がわかる?」といった台詞がある。裁判で世間の晒し者になっていく家族。なんだかマスコミにあり方に物申す的。ここに引っかかるのは、年明けからのニュースのせいかもしれない。

やっぱり、僕はあまり好みの映画じゃないな。


映画『Anatomy of a Fall』

今年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞。アカデミー賞にも間違いなく食い込んでくる作品。
フランス語圏のアルプスに住むドイツ人の3人家族。小説家のサンドラの夫サミュエルが屋根裏部屋から転落死する。第一発見者は盲目の息子ダニエル11歳。

サンドラは容疑者として逮捕され、裁判が始まる。次々と明らかになる夫婦関係や、バイのサンドラの女性との不倫。夫の後悔。果たして、夫の死は自殺なのか?サンドラが殺したのか?
息子ダニエルの証言が大きく左右する。

 パルムドール作品と聞いてすごいのを期待しないわけないのだけどす・・・普通じゃない。
主人公のサンドラに感情が向いていかない。有罪か?無罪か?助けようとも有罪にしようとも思わないのは、夫婦関係も、彼女自身も描き方が足りないから。

ものすごく、そうでもない映画なんだけど、俺が変なのかな?変だけど。

音楽が印象的。






 
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