グラノーラ夜盗虫

落下の解剖学のグラノーラ夜盗虫のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.5
フランス語学習がてら鑑賞。このタイトルは、映画において「転落死」と「夫婦の終焉」の原因を、それぞれ死に体を解剖して推測する行為を指したダブルミーニングだと思われる。
単純なストーリーに帰することはできない、夫婦・家族といった人間関係の積み重なったカオス系とまで呼べそうな複雑さ、そしてその複雑さにおいては真実がかならずしも白黒つかないことを丁寧に描いているという点で、「怪物」と近いテーマを取り扱っていると感じた。SNS流行に伴う語りの氾濫、それが「もう一つの事実 (alternative facts)」といったコンセプトまで生み出した虚構性で特徴づけられる現代社会を背景に感じるテーマ選択だ。