いち

落下の解剖学のいちのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.0
物的証拠に確信が持てない時、はたまたそれがない時、人は自分自身が率直に思ったことを発言し、それが真実だと疑わない。法廷で明かされる夫婦関係。やかましい検事、口挟む弁護人、そして盲目な息子。かれらの言葉による論争は見応えしかない。しかしながら、それらは主観的な発言ばかり。それ故、傍聴者である我々は真実を"解剖"できぬまま、法廷は幕を閉じるのであった。結局、無罪判決を言い渡されるが、納得できなかった。頭の中で思いがよぎる。母親による他殺なのでは?と。

語られない真実に頭を悩ませ、存在しない証拠を求め、どんでん返しを期待した天皇誕生日。私はこの日を忘れない。
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