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落下の解剖学のyuzameのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.0
冒頭のシーンが凄く異質で、
どう受け止めればいいのか
良く分からないって所から始まった。

めちゃくちゃ綺麗な景色。
素敵なお家。
もの凄く尊大な感じのインタビュイー
サンドラ。
どうやら彼女には
夫がいるらしいが姿は見せず、
しかし、気が狂ってるとしか思えない程の
ボリュームで鳴らす音楽によって
その存在をガンガンにアピールしてくる。
そんな大音量なのに、
あえて意に介さない体を装う妻。
にこやかにしてるけど、変だよね??

凄くイライラさせらせる映画だった。
爆音の音楽もそうだし、
その前のボールの音も耳障りだった。
何回もつっかえるピアノ。
それから、赤いローブ着た
坊主頭の検察官にも
めっちゃイラついたー。

謎解きと、法廷劇と、
後半はマリッジストーリー味もあり。

赤坊主が下衆さ全開で
サンドラを詰めてくるから
ムカついて、
サンドラに肩入れして見ちゃったし、
下品な事聞かれても、
努めて理性的に受け答えする姿や
ダニエルへの愛情深い態度を見てると、
殺してはいないだろうなとは
思ってたけど、けど、

冒頭に感じた違和感や、
マリッジストーリー部分や、
後半になって明らかになる
他の面を見せられると
サンドラは夫の提案に従って
フランスに来たけど
それは悪手だと分かっていたのに
敢えて従って
彼を袋小路に追い込んで、
彼に負けを認めさせようと
したんじゃないかな。
なんて思えた。

そんな彼女の振る舞いの結果、
息子から父親を奪った。
殺してはいないけど。
とも取れるなぁと。

保護官の女性がダニエルに言うセリフも
ザワザワさせる内容で、ダニエルの真意が
言葉の通りとは限らないぞっていう
含みを持たせる事に繋がってくるし。

故意だったり無意識だったり、
何層にも絡み合った
色んな感情のやり取りが
たった3人と一匹の集まり、
「家族」の中に
詰まってるっていう事を
たっぷりみせられた。

とっても面白かったけど
個人的には、
オスカーの作品賞候補に入るような
タイプの作品かしらね?
監督賞もバービーじゃなくてこっちなの?
アメリカの賞なのに?
とは思ってしまった。
とても面白かったけどです。
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