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落下の解剖学のmeehooのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.0
物語上は判決が出るのだけれど、その判決が出た瞬間の、息子ダニエルの、悲しいようにも嬉しいようにも見えるしみじみとした泣き顔で、結局真相はいまだ藪の中であることを思い知らされる。
(ダニエルのあの表情を拝むだけでも見る価値アリ!)
しかしそれでも鑑賞後のモヤりは皆無。旦那が落下した瞬間の状況を、各々の主観だけで構築し、聞くものを翻弄する法廷ドラマは圧巻で、ガッツリとした見応えを与えてくれた。
嫌味くさい検察官の、グレーはもちろん、限りなく白に近いグレーでも容赦なく真っ黒に塗りつぶさんとする口撃や、母国語以外での証言を強いられることの危うさ、また法廷を離れた場所に潜むある“一線”が、終始こちらの緊張感を煽り、ヒヤヒヤさせてくる。
また、フランスは人権意識の高い国と聞いてはいるが、その人権はフランス語を話す限りにおいて担保されるのだなと感じるなど。

三連休初日ではあったが、さめざめと雨の降る日比谷シャンテ。夕刻の回は満席。何組かフランス語を話す観客あり、『どーなん?フランス語圏的にどーなん?』と感想を聞きたくなった。

1点、ワンコのアレが演技だという与太をオイラは信じないぞ。サンオイルでも飲ませたんじゃないのか?やめてぇぇぇ!
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